HOME  ENGLISH
知的財産の重要性
特許
実用新案
意匠
商標
外国出願
商 標

商標制度
商標制度

 商標法では、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合で、業として商品を生産し、証明し若しくは譲渡する者がその商品について使用するもの、又は業として役務を提供し若しくは証明する者がその役務について使用するものが保護対象となります。従って、におい、味、及びテーマソングのような音は保護の対象とはなりません。

 商標登録を受けるためには、商標を表示し、商品及び役務の区分と指定商品又は役務を記載した所定の願書を特許庁に提出する必要があります。

 出願された商標は、出願公開され、先願主義のもとに審査された結果、登録が認められた商標権については 、登録商標公報に掲載されます。商標権の存続期間は登録の日より10年間ですが、この期間は更新登録申請により、原則として10年間づつ更に何度も更新できます。

 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標を独占的に使用でき、商標権を侵害した者に対して、民事上、刑事上の救済処置を求めることができます。


商標保護の必要性

 日本国内において、消費者、企業等が経済活動を円満に行っていくためには、ある商品やサービスについてその商品の製造者又はサービスの提供者により、どの程度の質のものが期待できるかを把握できるシステムが必要になります。

 そこで、商標制度は、商品やサービスに付される商標を保護して、その商標に対し、それが付された商品やサービスの出所を表示する機能、品質を保証する機能及び広告機能を持たせることにより、商標使用者の業務上の信用の維持を図ると共に、需要者の利益を保護しようというものです。

 

商標保護のための各制度

 商標権には、他の工業所有権とは異なる特殊性から、下記の制度が設けられています。

1.防護標章登録制度

 防護標章登録制度とは、登録商標が需要者の間に広く認識されている場合に、他人がその商標をその指定商品(役務)と類似しない商品(役務)について使用すると当該商標権者の取扱う商品(役務)であるかのように出所の混同を生じさせるおそれのあるとき、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることを認めて、商標権の禁止的効力を上記非類似の商品(役務)にまで拡大する制度です。

2.団体商標登録制度

 団体商標登録制度とは、事業者を構成員に有する団体が、その構成員に使用させるための商標について登録を受けることができる制度で、登録を受ける者自身がその商標を使用することは必ずしも必要としません。この制度は、例えば、地域おこしや特定の業界の活性化のために、団体が中心となって、独自ブランドによる特産品作りをするような場合に利用できる制度です。

3.地域団体商標登録制度

 地域団体商標登録制度とは、地名と商品名とを組み合わせた商標がより早い段階で登録を受けられるようにすることにより、地域ブランドの育成に資することを目的として、導入された制度です。これから地域ブランド活動を展開していこうとする事業者に対して、自らの権利がしっかりと守られるというインセンティブとなり、地域活性化につなげようとする制度です。

.小売等役務商標制度

 平成19年4月1日から、小売業者、卸売業者が使用するマークをサービスマーク(役務商標)として保護する制度でショッピングカートや店員の制服などに使用している商標も保護されることになりました。


外国での商標権の取得について

 外国に商品を輸出する等の商取引が存在する場合には、その外国において商標権を取得する必要があるか否かを検討しておく必要があります。

 商取引を行う外国において、他人の商標権が存在する場合には、自己の未登録商標の使用が悪意のない使用であってもその他人の商標権の侵害になり、侵害事件等のトラブルに巻き込まれるおそれがあります。このようなトラブルに巻き込まれるのを回避するためには、予め当該外国において商標権を取得しておく必要があります。

 外国で商標権を取得する場合には、外国の特許庁に直接出願する以外に、以下に記載するマドリッド協定議定書に基づく国際登録出願制度、広域商標制度(欧州共同体商標制度)などを利用することができます。

1.国際登録出願制度

 マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願制度で、世界知的所有権機関(WIPO)国際事務局が管理する国際登録簿に国際登録を受けることにより、指定締約国においてその保護を確保できる制度で、国際登録出願は、「マドプロ商標出願」ともいわれます。

 国際登録出願制度の利用には、日本特許庁に係属中の商標登録出願又は既に登録されている登録商標を基礎とする必要があり、出願に係る商標は、上記基礎出願・登録のものと同一で、指定商品・役務の範囲は、当該基礎出願・登録と同じか、又はそれよりも狭くする必要があります。

 国際登録出願は、願書を日本特許庁に提出して行われます。

 審査は、日本特許庁、国際事務局、各指定国官庁の順で行われます。

 基礎出願が登録にならない場合又は基礎登録が取消された場合には、国際登録出願・登録も取消されます(セントラルアタック)。この場合、各国出願に切り替えの手続を行うことができます。

 登録後は、更新、各種変更手続きを一括して行うことができます。

 存続期間は国際登録日より10年間で、何度でも更新することができます。

2.欧州共同体商標制度

 欧州共同体商標制度とは、欧州連合国において一つの商標出願及び一つの商標登録で、加盟国全域で同一レベルの保護及び権利を得ることが可能となる国際的商標登録制度です。

 保護対象となる商標には、個人の名称、単語、模様、文字、数字、商品又はその包装の形状等を含め表示できる標識が含まれます。

 商標登録を受けることができる者には、欧州共同体加盟国の国民の他、パリ条約の同盟国の国民も含まれますので日本人(日本法人を含む)も欧州共同体商標の登録を受けることができます。

 欧州共同体商標出願は、スペインのアリカンテに所在する欧州共同体商標庁に直接出願するか又は、欧州連合国の国内官庁を通じて欧州共同体商標庁に出願します。

 出願後、不登録事由(主な不登録事由は、識別性を欠く商標、公序良俗に反する商標、紋章もしくは記章からなる商標です。)に該当するか否かについてのみ審査が行われ、先行商標により拒絶されることはありません。

 商標調査が欧州共同体商標庁及び加盟国において行われ、調査結果は出願人に通知され、補正書、意見書を提出する機会が与えられます。不登録事由が解消しなければ拒絶査定され、不登録事由がなければ出願公告され、第三者からの異議申立がなければ、登録決定されます。商標権の存続期間は出願日から10年間で、更新は何度でも可能です。